研究課題/領域番号 |
15251008
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研究機関 | (財)中近東文化センター |
研究代表者 |
川床 睦夫 財団法人中近東文化センター, 学術局, 主任研究員 (00260141)
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研究分担者 |
真道 洋子 財団法人中近東文化センター, 学術局, 研究員 (50260146)
高橋 忠久 財団法人中近東文化センター, 学術局, 研究員 (20260143)
家島 彦一 早稲田大学, 教育学研究科, 特任教授 (90014472)
手塚 直樹 青山学院大学, 文学部, 教授 (80337857)
保倉 明子 東京理科大学, 理学部, 助手 (20343569)
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キーワード | 港市 / ラーヤ / 蛍光エックス線分析 / ラスター彩陶器 / 白磁 / 物質文化交流史 / フスタート遺跡 / 白釉陶器 |
研究概要 |
イスラーム時代の物質文化は、爛熟したコプト・ビザンティン文化を直接継承し、イスラーム的に展開したものである。陶器、ガラス器などはイスラーム世界、そして地中海世界、インド洋世界、南シナ海世界と密接な関わりを持ちつつ、イスラーム的器形、文様、装飾、技法、材質を確立した。 2004年度は、ラーヤ遺跡から出土したラスター彩陶器片約2,700点を細分類した。ラスター彩の色調観察の結果、色調は赤色、黄色、茶色の三色が基本で、それぞれに濃淡があるとの判断をした。よって、従来、多色ラスター彩と分類していたものを、色調と濃淡の組み合わせで分類する必要が出てきたのである。 また、2003年度から実施している白釉の観察と化学分析を継続した。すでに明らかなように、イスラーム陶器の展開にとって、焼成すると赤茶色に発色する素地を白色で覆うことは必要不可欠であった。そこで、白釉陶器、ラスター彩陶器、そのほか白地藍彩陶器などの白色部分を観察し、青味がかった白色、くすんだ白色、さまざまな色調の斑点のある白色など、多様であることがわかった。そこで、約200点を選出し、蛍光X線分析器で、部分的に蛍光X線回折器を併用して分析した。その結果、酸化錫による白濁で器面を覆うという技法だけではなく、低い温度で焼成することによる未融解粒子で覆うという技法によるものが多数検出された。 さらに、エジプト考古最高会議フスタート出土品倉庫における調査研究を2004年9月から2005年2月まで継続し、エジプトおよびイラクのラスター彩陶器116,620点を撮影した。また、4,700点については詳細な観察をし、124点の実測図を作成した。さらに、その他の陶器の分類も実施した。 詳細は、川床睦夫編『エジプト・シナイ半島ラーヤ・トゥール地域の考古学的調査、第24次(2004年度)』(財団法人中近東文化センター発行)を参照されたい。
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