研究課題/領域番号 |
15251008
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研究機関 | (財)中近東文化センター |
研究代表者 |
川床 睦夫 (財)中近東文化センター, 学術局, 主任研究員 (00260141)
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研究分担者 |
真道 洋子 (財)中近東文化センター, 学術局, 特別研究員 (50260146)
高橋 忠久 (財)中近東文化センター, 学術局, 特別研究員 (20260143)
家島 彦一 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 特任教授 (90014472)
手塚 直樹 青山学院大学, 文学部, 教授 (80337857)
保倉 明子 東京理科大学, 理学部, 助手 (20343569)
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キーワード | 港市 / ラーヤ / 物質文化交流史 / ラスター彩陶器 / 蛍光X線分析器 / フスタート遺跡 / 岩壁碑文 / キャラバン・ルート |
研究概要 |
平成17年度は、1997年以来蓄積されたラーヤ遺跡出土のガラス類(RG)、陶器類(RP)、道具類(RT)のデータベースを重点的に整備した。中国陶磁器(RCW)とともに文化交流を示す重要な資料だからである。特に、イスラーム・ガラスは、近年、東南アジア、中国、日本からの発見例が相継いで報告され、注目されつつある。 8月、9月は、ラーヤ遺跡の発掘調査を実施し、新資料を多量に蒐集すると同時に、中近東文化センター・イスラーム・エジプト調査隊トゥール研究施設に保管されている遺物の研究を実施した。併行して実施した可搬式蛍光エックス線分析装置と可搬式蛍光エックス線回折装置によるガラスと陶器釉薬の分析は試料数300点を数え、地域と時代によるガラス組成(ガラス器と陶器釉薬)の相違が明らかとなった。 この結果、シナイ半島南西部が6-7世紀はビザンティン文化圏、7-10世紀頃はイラク・シリア・パレスティナ文化圏、11世紀頃以降はエジプト文化圏に属したことが明らかとなった。また、7世紀以降、イスラーム世界に組み込まれるが、その中でキリスト教世界が十分に機能していたことも明らかとなった。今後は、物質文化のより詳細な研究(比較研究、化学分析ほか)を積み上げて、「モノ」の世界から見た文化交流の枠組みを構築する必要がある。調査報告書は5月に出版される予定である。 文化交流の道を明らかにするための岩壁碑文調査は南シナイの第I期調査(2001-2005年)を終了し、2005年7月23日にロンドンで開催された第39回Seminar for Arabian Studies(The British Museum)で成果の一部を報告した(Proceedingsは2006年中に刊行される)。また、岩壁碑文調査の一部は、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所GICAS研究班と合同で実施され、成果はその出版物として共同出版される。
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