研究概要 |
・2005年8月,相馬・出田・伊藤・小方を中心に,中国側から于 志勇海外共同研究者他2名を加え,タリム盆地南東部の米蘭遺跡,チャルクリク,チェルチェン周辺,さらに,同盆地北縁の輪台オアシス付近の遺跡調査を実施し,1)同盆地南東部では,住居址などに加えて,灌漑水路跡が確認・発見され,かつての耕地跡はいずれも現オアシスの耕地よりも高い段丘面に分布すること,2)米蘭遺跡では,灌漑水路跡が大まかには第一次から第四次までに区分され,そのうち第三次まではCorona衛星写真で抽出が可能な盛土式水路,第四次は同衛星写真で抽出できない掘込式水路,3)灌漑水路上に規模が異なる半固定砂丘(紅柳包)が分布し,水路放棄が複数の時期に亘る可能性が高いこと,などを明らかにした. ・舘野は,2005年10月に大英図書館でタリム盆地出土の木簡を調査し,相馬は,2006年3月に大英博物館でスタインコレクションを調査した. ・2006年2月19日に,総合地球環境学研究所の通称「さとプロジェクト」と共同で,国際シンポジウム「タリム盆地および周辺地域における遺跡とその立地環境の解明にむけて-現状と課題-」を実施し,于 志勇海外共同研究者他2名の中国新疆ウイグル自治区文物考古研究所などからの考古学研究者,および,菅谷,伊藤,小方他,相馬他が研究成果を発表した. ・相馬他は,日本地理学会乾燥・半乾燥地域研究グループ研究集会,日本地理学会2006年春季学術大会において,それぞれ,「中国乾燥地域における古代農業復元の可能性をさぐる-タリム盆地と内モンゴルに残された灌漑水路跡を通して-」,「中国タリム盆地の米蘭遺跡における灌漑水路跡-Corona衛星写真判読と現地調査-」を発表した.相馬は,日本国際地図学会第39回地方大会(神戸)にて,招待講演「中国タリム盆地および周辺地域における古代遺跡とその立地環境」をおこなった.
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