中央アジア砂漠資源の開発保全とアフガニスタン北部農業の創設

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15252002
• 研究種目: 基盤研究(A)
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 塚谷 恒雄 京都大学, 経済研究所, 教授 (90027459)
• 研究分担者: 小尻 利治 京都大学, 防災研究所, 教授 (00026353) ; 池淵 周一 京都大学, 防災研究所, 教授 (20026181) ; 溝端 佐登史 京都大学, 経済研究所, 教授 (30239264) ; 高木 隆司 東京農工大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80015065) ; 山本 政儀 金沢大学, 理学部, 助教授 (10121295)
• キーワード: 砂漠化 / キジルクム / ナボイ / アフガニスタン / 水資源 / ピアンジ / アムダリヤ / ウラン鉱滓

研究概要

キジルクム砂漠とゼラフシャン流域ではウラン鉱滓が堆積し、大量の重金属、酸、放射性物質が水圏に混入し、灌漑地を汚染しつつある。この地域を対象に、環境再生の国際政策を提示する。
アフガニスタンは水資源の恩恵を受けていない。これが国内紛争とゲリラ戦、麻薬栽培へと駆り立てる要因となっている。穀倉地帯建設の提言のため水資源データ、地下点滴灌漑、衛星情報を総合化し、あわせて右岸の浪費的水消費を改めようとする。
1.ウズベキスタン科学アカデミーとナボイ金属採鉱精錬コンビナート(NMMC)の海外共同研究者の協力を得、ゼラフシャン流域、アムダリア流域を対象に季節毎に水質、土壌、動植物を採取し、汚染状況をICP-MSによって分析する。現在解析中である。
2.ナボイ金属採鉱精錬コンビナートNMMCとウズベキスタン科学アカデミーの海外共同研究者とともに、ウチクドュク・ウラン鉱滓のリモートセンシングと現地での動植物の定期観測体制を整備した。必要な試料は灰化して輸入し、汚染状況をICP-MS、放射化分析によって分析する体制を作った。
3.同時に米国の海外共同研究者とともに米国のウラン鉱滓処理の実態を分析し、旧ソ連の同種問題の解決策を探った。
4.アフガニスタン北部の農業創設のため、データベースを整理し、米国地質研究所の協力の下でリモートセンシング体制を整えた。またピアンジからタジキスタンとアフガニスタンの国境を越え、クンドュス周辺の水資源状況を視察した。タジキスタンとアフガニスタンの調査はディスカッションペーパーとして公表し、研究者と各国関係者に配布しつつある。
5.2003月6月開催のNATO高等研究ワークショップでアフガニスタンの水資源と麻薬について発表し、2003年10月開催のハーバード大学中央ユーラシア学会でアフガニスタン農業開発のパネルを主催した。

研究成果

• [文献書誌] Toderich, K., Tsukatani, T.: "A survey of land, vegetation and irrigation systems in North Afghanistan and neighboring Tajikistan"Kyoto Institute of Economic Research Discussion Paper. No.584. 1-20 (2004)
• [文献書誌] Toderich, K., Tsukatani, T., Abdusamatov, M.: "Water resources assessment, irrigation and Agricultural developments in Tajikistan"Kyoto Institute of Economic Research Discussion Paper. No.585. 1-46 (2004)
• [文献書誌] Fuchinoue, H., Tsukatani, T.: "Afghanistan's Revival : irrigation on the right and left banks of Amu-Darya River"Proceedings of NATO ARW, 11-14 June,2003. 40-50 (2003)
• [文献書誌] Toderich, K.N., Tsukatani, T.et al.: "Risk assessment of Environmental contaminants of Asiatic Deserts Ecosystems in relation to plants distribution and structure"International Conference on Desert Thechnology-7, Umaid Bhawan Palace, Jodhpur, Rajasthan, India, November 2003. 7. 48-56 (2003)
• [文献書誌] Ghotbi N., Tsukatani T.: "Afghanistan's poppy fields problem & its implications for the regional development"Proceedings of NATO ARW, 11-14 June,2003. 51-55 (2003)
• [文献書誌] Tsukatani, T., Fuchinoue, H.: "The Left and right banks of Amu Darya"Central Eurasian Studies Society 2003 Conference, Harvard, Oct.2003. EC-08. (2003)
• [文献書誌] Gus Gintzburger, K.Toderich., B.Mardonov, M.Makhmudov: "Rangeland plants of arid and zone of Uzbekistan"CIRAD, France and ICARDA, Syria. 426 (2004)