研究課題/領域番号 |
15252004
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
江口 信清 立命館大学, 文学部, 教授 (90185108)
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研究分担者 |
山本 勇次 大阪国際大学, 法政経学部, 教授 (50114806)
村瀬 智 大手前大学, 社会文化学部, 教授 (50331707)
藤巻 正巳 立命館大学, 文学部, 教授 (60131603)
リム ボン 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (10202409)
北森 絵里 天理大学, 国際文化学部, 助教授 (40278875)
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キーワード | スラム / 自生的リーダー / プロト・カリスマ / 貧困の文化 |
研究概要 |
本研究の目的は、スラム地区の貧困な人たちをリードして、当該地域社会を内発的に改善・向上させることのできるリーダーとはどのような人物であるのか、またこういったリーダーが力を発揮して人びとをリードできるための社会・経済的・文化的環境とは何かを本研究参加者各人のフィールドでの事例を通じて分析・考察することである。 スラムの形成は、初期の混沌とした段階を経て、コミュニティが形成され、道路、水道、電気をはじめとする生活基盤の整備の段階へ進み、さらに店舗、教会(寺院)、学校などの諸施設や制度が整えられる段階へといたる。自生的リーダーは、この第二段階に生じるが、外部のNGO・政府などとコミュニティの橋渡しをし、様々な資源を獲得する役割を果たす。コミュニティ内部においては、出身や価値観を異にする人たちを方向付けし、協同作業をさせて、生活環境を整えるという先導的な役割を担っている。自生的リーダーの特徴として、雄弁であること、長期的展望をもつこと、・時間的・経済的余裕があること、読み書きができること、人の話をよく聞くこと、教育を重視すること、勤勉さを重要視することなどが見出された。これらの特徴は、いわゆる「貧困の文化」の諸特徴の多くとは正反対のものであり、中産階級のものであるといえる。このような自生的リーダーを「プロト・カリスマ」と名づけた。 さらに重要な点として、女性がこの段階の自生的リーダーになっている場合が多く見られるということである。女性が育児・家事の多くを担うということから生活環境の状態に最も敏感であるという理由、生み、育てるという女性性がスラム成長過程に繁栄されるという理由などが要因になっている。さらに、第三段階以降では、女性から男性へとリーダーの役割が移行し、より政治色を帯び始めることが明らかになった。
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