研究課題/領域番号 |
15252010
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
経営学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤本 隆宏 東京大学, 大学院経済学研究科, 教授 (90229047)
|
研究分担者 |
下川 浩一 東海学園大学, 経営学研究科, 教授 (70061075)
関 満博 一橋大学, 商学研究科, 教授 (90216523)
新宅 純二郎 東京大学, 大学院経済学研究科, 助教授 (00216219)
李 春利 愛知大学, 経済学部, 教授 (20301624)
椙山 泰生 京都大学, 経済学研究科, 助教授 (70323467)
|
研究期間 (年度) |
2003 – 2005
|
キーワード | 中国製造業 / 製品アーキテクチャ / 擬似オープン・アーキテクチャ / 技術的ロックイン / モジュラー型アーキテクチャ / インテグラル型アーキテクチャ / コピー / 改造 |
研究概要 |
本研究プロジェクトの主たる成果として、2005年に藤本・新宅編著『中国製造業のアーキテクチャ分析』を出版した。その結論は、概略次のとおりである。 第一に、日本企業は知識集約的インテグラル・アーキテクチャの製品(自動車等)において国際競争力を発揮する傾向があるのに対し、中国企業は、労働集約的なモジュラー型製品で強い傾向がある。第二に、中国の多くの機械系産業は既存のインテグラル型製品アーキテクチャを転換(換骨奪胎)するメカニズムを備えており、それがインドやASEANの製造業との顕著な違いとなっている。すなわち、外国のオリジナル製品をコピーと改造の繰り返しによって換骨奪胎し、汎用部品の寄せ集めに近い「擬似オープン・モジュラー型アーキテクチャ」の製品に変えてしまう。表面上はイミテーション製品の横行といった問題点が指摘されるが、その深層にあるアーキテクチャ転換能力こそが、日本企業にとって中国産業を考える上での重要なポイントである。第三にこの擬似オープン・アーキテクチャが、企業の濫立、価格の低下、研究開発費の消失、コピー氾濫状態の継続(技術的ロックイン)といった、中国産業の基本特性を説明する重要な要素となっている。 以上のような中国製造業に関する研究成果を踏まえて、中国製造業についての分析結果を、インドやASEAN諸国と比較するための調査を開始した。その結果、例えばベトナムでは一般作業者の定着率が比較的高いこと、インドには模造品メーカーが少なく寡占競争になりやすいこと、タイでは中国製のモジュラー型アーキテクチャのオートバイが市場で受け入れられていないことなど、中国との顕著な違いが分かってきた。今後はこうした相違点を、ダイナミックな経路依存性の視点から体系的に分析していく予定である。
|