研究課題/領域番号 |
15253001
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
安仁屋 政武 筑波大学, 地球科学系, 教授 (10111361)
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研究分担者 |
青木 賢人 金沢大学, 文学部・史学科, 助教授 (30345649)
安間 了 筑波大学, 地球科学系, 講師 (70311595)
中野 孝教 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (20155782)
澤柿 教伸 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (70312410)
佐藤 和秀 長岡工業高等専門学校, 教授 (80113398)
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キーワード | パタゴニア / 完新世 / 環境変動 / エクスプロラドーレス氷河 / ペリート・モレーノ氷河 / カービング / 古地磁気 |
研究概要 |
今年度は大きく、環境変動班、氷河班、地質班に分かれて調査した。 環境変動班は北パタゴニア氷原のエクスプロラドーレス氷河を対象として、モレイン調査ならびに氷河の流動を測定した。この氷河はパタゴニアの最高峰サン・バレンティン山(3910m)の北側に流出する大きな氷河で、末端前面に比高100mを越す大きなターミナル・モレインが形成されている。ここから採集した年代測定資料の一つ、木片から1900±50BPという年代が得られた。木片の由来を確定することは困難だが、モレインには土壌が形成されており、この年代前後に形成されたと考えても無理はない。氷河流動は11月30日から12月10日まで6点でGPSを使って計測した。流動の日平均は6.5cmから11.4cmであった。この結果、厚いデブリに覆われている末端付近も動いていることが判明した。 氷河班は11月末から12月にかけて、パタゴニア南氷原に分布するペリート・モレーノ氷河において、カービング機構に関する以下の調査観測を実施した。流動測定は1 2日毎のEDM測量と1日2回のステレオ写真測量で行った。氷河湖に設置した水位計の2秒毎の水位変動より、カービング現象の頻度と規模の観測を実施した。また、氷河中流部において、氷河横断面形状の観測を行った。氷河末端と中流部において、流動に関係する氷河上の水流と氷穴の調査を行った。氷河湖底の堆積物の層厚測定を音波観測によって行った。昨年春以来、氷河末端部は対岸に乗り上げて湖を分断し、一方の湖水の水面が上昇しつつあるので、ice-dam形成期におけるカービング活動の特性の解析を行なう。 地質班は、中新世から完新世に至る地磁気変化を見積もるため、平成16年2月-3月にかけて現地野外調査を行い、チリ・パタゴニアに分布する中新世-鮮新世火成岩類試料、アルゼンチン・パタゴニアに分布する中新世-更新世火山岩類試料、国境地帯に分布する完新世湖沼堆積物と火山灰層の採取を行った。これらの試料については来年度以降に古地磁気測定と年代測定を行い、南半球での古地磁極と磁場強度の変遷の推定に用いる予定である。また、設置済みの地震計網の設置状況の確認を行った。
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