研究課題/領域番号 |
15253004
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
水野 亮 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (80212231)
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研究分担者 |
長濱 智生 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (70377779)
前澤 裕之 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (00377780)
大西 利和 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30314058)
小川 英夫 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (20022717)
中根 英昭 国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 上席研究官 (50155777)
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キーワード | 成層圏中間圏 / 大気微量成分(水蒸気) / リモートセンシング / マイクロ波放射計 / 超伝導受信機 / 地上観測 |
研究概要 |
本研究は、成層圏においてここ20年あまり年率1%程度で増加し、1990年代末より減少傾向に推移しつつあると考えられている水蒸気の振る舞いを観測的に明らかにし、変動のメカニズムに対する新たな知見を得ることを目的とし、多周波同時観測ミリ波分光放射計を新たに開発・製作し、南米チリ共和国の4800mのアタカマ高地に設置して水蒸気分子の同位体比測定を行うものである。 2年め(最終年)にあたるH16年度は、(1)多周波同時分光観測装置の製作、(2)アタカマ高地における観測施設の立ち上げと観測を行った。 (1)に関しては、2つの超伝導受信機を冷却するための4Kクライオスタットの製作、2系統のビーム伝送系と常温・冷却黒体の切り替えのためのリニアスライダー駆動鏡とモーター駆動鏡およびその制御系の製作を行い、観測システムを組み上げた。超伝導受信機に局部発振信号を供給するGunn発振器が1系統故障し、研究期間内での2周波同時観測には至らなかったが、観測システムの基本動作の確認は終了している。現地では、40フィートコンテナに断熱を施し改造した観測室に(1)で開発した装置を立ち上げた。(2)の観測では2.5分程度の積分でS/N比〜400の確度の高い183GHz H_2Oスペクトルを取得することができた。同スペクトルは対流圏での吸収が大きいため、標高の低い場所では観測が極めて困難なもので、このような短時間で良質のスペクトルが取得された例は他にない。気圧低下に伴う電子機器の冷却効率の低下に伴う装置トラブルや夜間の気温低下にともなう冷却水配管の破裂など、いくつかの障害が発生し予定よりも立ち上げが遅れたが、現時点では基本的な問題点は解決されている。本研究により、アタカマ高地における水蒸気観測の基盤が確立された。本研究で開発した2周波同時観測装置は、今後もアタカマ高地における水蒸気同位体比長期モニターに使用する。
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