研究課題/領域番号 |
15253008
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
加瀬 友喜 国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (20124183)
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研究分担者 |
北村 晃寿 静岡大学, 理学部, 助教授 (20260581)
酒井 英男 富山大学, 理学部, 教授 (30134993)
鈴木 雄太郎 静岡大学, 理学部, 助手 (50345807)
田吹 亮一 琉球大学, 教育学部, 助教授 (60155231)
狩野 泰則 宮崎大学, 農学部, 助手 (20381056)
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キーワード | 海底洞窟 / 捕食 / 間隙水環境 / アンキアリン環境 / 巻貝 / アマオブネガイ目 / 進化 / 甲殻類 |
研究概要 |
1.アンキアライン(anchialine)とは、海岸近くに位置するにもかかわらず、地下で海と連絡している汽水の水塊をさす。このうち地下に存在しアンキアライン洞窟と呼ばれる環境からは、甲殻類などの特異な分類群が多数発見され注目を集めている。不思議なことに、これら洞窟にのみ生息し皮膚の色素や眼が退化した分類群(属や種)は、しばしば極めて広い地理的分布を示す。これに関して1970年代より議論が盛んであるが、ほとんどの説-大陸移動に伴う拡散、深海からの多数回進出など-はアンキアライン洞窟動物の海洋における拡散能力をごく限られたものとみなす。本研究では、フィリピンのセブ島とパンラオ島の複数のアンキアライン洞窟からコハクカノコ属(アマオブネ上目コハクカノコ科)の巻貝の1新種を見いだし、分類学的に記載すると友に、mtDNAのCOI遺伝子塩基配列を用いたアンキアライン洞窟の動物として初の個体群解析を行った。同種は退化した眼と白い殻・皮膚をもち、真洞窟性動物に分類される。2島は直線距離で180km離れているうえ、水深300m以上のボホール海峡で隔てられているため最終氷期にも陸続きとはなっていない。ところが本解析により、2島の集団が極めて頻繁な遺伝的交流をもつひとつの氾生殖個体群であることが明らかになった。河川に生息するコハクカノコ属の諸種は両側回遊を行う。すなわち、孵化した幼生が川を下り、海での浮遊幼生期をおくったのち河口で着底・変態、幼貝が遡上する。このため種の地理的分布は極めて広い。この両側回遊という生活環こそがアンキアライン洞窟進出にあたっての前適応であることが指摘された。 2.カリブ海のグランドケイマンの海底洞窟からかつて採取された微小甲殻類の中から、アミ類のHeteromysoides属の1新種、1稀種を見いだし、分類学的に記載した。
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