研究分担者 |
井上 京 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30203235)
谷 宏 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80142701)
大崎 満 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (60168903)
岡田 啓嗣 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30333636)
兒玉 裕二 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (70186708)
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研究概要 |
自然条件が良好な熱帯泥炭林(SFサイト),排水路の掘削により地下水位が低下している熱帯泥炭林(KFサイト),および2002年に火災によって表土が焼失した熱帯泥炭地(KBサイト)において,渦相関法を用いたCO_2・エネルギーフラックス,自動開閉式チャンバーシステムを用いた土壌呼吸速度,および環境条件(放射,気温,湿度,降水量,CO_2濃度,土壌水分,地温,地下水位など)の連続観測を継続した。さらに,人工衛星(LANDSAT, SPOT)からの画像データをもとに,対象地域の植生指数(NDVI)の変化を解析し,火災の影響,および火災による被害からの回復過程に関する研究を行った。 また,2001年に観測を開始したKFサイトのデータ(2001〜2004年)を用いて,純生態系CO_2交換量(NEE)を求め,森林生態系のCO_2収支の解析も行った。KFサイトのCO_2収支に関して得られた主な成果は以下の通りである。 1)樹木の光合成による昼間のCO_2吸収量は,大気飽差(VPD)が増大する乾燥条件で低下した。 2)生態系呼吸量は,地下水位の低下にともなって増大した。これは,好気的条件のもとで泥炭の分解が促進されたことによる。 3)NEEには季節変化がみられ,乾季の前半に最低(ほぼゼロ),乾季の後半に最大(CO_2放出)であった。特に2002年は,ENSOによる乾燥にともなって大規模な火災が発生し,大量に排出された煙のために日射が減少し,光合成が低下した。その結果,最大のNEEが観測された。 4)2002〜2004年の3年間の平均年間NEEは314gCm^<-2> y^<-1>となり,排水路によって地下水位の低下した熱帯泥炭林は,大気に対するCO_2ソースであった。ENSO年である2002年には,CO_2発生量が最大となった。
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