研究分担者 |
井上 京 北海道大学, 大学院農学研究科, 助教授 (30203235)
谷 宏 北海道大学, 大学院農学研究科, 助教授 (80142701)
大崎 満 北海道大学, 大学院農学研究科, 教授 (60168903)
岡田 啓嗣 北海道大学, 大学院農学研究科, 助手 (30333636)
兒玉 裕二 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (70186708)
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研究概要 |
インドネシア中央カリマンタン州の熱帯泥炭地を調査対象とし,a)未撹乱の熱帯泥炭林(SFサイト),b)排水路により地下水位の低下した熱帯泥炭林(KFサイト),c)熱帯泥炭林の火災跡地(KBサイト),において,主に微気象学的方法(渦相関法)によりCO_2収支とエネルギー収支を長期(3年間)連続観測した。KFサイトで信,2001年から観測を継続している。また,SFサイトとKBサイトでは,タワー建設が送れたため,当初の予定より1年遅れの2004年に観測を開始した。 この地域は,平均して5〜10月の6ヶ月間が乾季に相当する。乾季には地下水位が大きく低下し,土壌水分も低下した。ENSOが発生した2002年には,森林周辺で大規模な泥炭火災が発生し,大量の煙で覆われたため,乾季の後半に光合成有効放射(PPFD)が大きく低下した。正味生態系CO_2交換量(NEE)は,乾季の後半に上昇し,雨季から乾季の前半にかけて低下するという季節変化を示したが,負の値(正味のCO_2吸収)となる月は無かった。乾季の後半における上昇は,生態系呼吸量(RE)の増加によるもので,これは地下水位の低下にともなって泥炭の分解が促進された結果であると考えられる。これらの結果から,年間のNEEは300〜700gCm^<-2>y^<-1>となり,この熱帯泥炭林がすでにCO_2ソースとなっていることがわかった。乾季の降水量が少なく,大量の煙に覆われてPPFDが低下したENSO年(2002年)のCO_2放出量が最大であった。
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