研究課題/領域番号 |
15255004
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
鈴木 款 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (30252159)
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研究分担者 |
塩井 祐三 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (70094092)
大森 保 琉球大学, 理学部, 教授 (00045022)
土屋 誠 琉球大学, 理学部, 教授 (40108460)
深見 公雄 高知大学, 農学部, 教授 (30181241)
CASARETO Beatriz 静岡大学, 遺伝子実験施設, 客員助教授 (60402244)
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キーワード | サンゴ白化現象 / 環境分析 / 環境変動 / 生態系修復・整備 / 物質循環 / 国際情報交換 / レユニオン / インド洋 |
研究概要 |
白化現象の要因とその回復過程を調査する目的で、インド洋のサンゴ礁群集の重要な場所であるREUNION島を対象に調査を行っている。1997-1998年の海水温の上昇により世界的規模で白化現象が起こった。モーリシャス周辺のサンゴ礁は10%より少ないダメージで、太平洋の50-90%に比べて極めて低い。海水温の上昇の程度は太平洋と同程度であるにもかかわらず白化が大規模に何故起こらなかったのか。この海域のサンゴ礁の生態系維持・回復機構には何か特徴があるのか。REUNI0N島で18年度は、2007年の2月(南半球の夏でサイクロンの少ない時期)に試料採取・調査が行われた。研究調査はフランス側と共同で行われた。海水および堆積物中のシアノバクテリア、微生物、共生藻類と栄養塩変動の関係、窒素固定量を測定した(測定の90%以上は日本側)。海草藻場との共生にも注目した。Saint-Denis周辺のサンゴは62%(Acropora fomosa, Acropora digitate)、藻類が38%と昨年に比べてサンゴの割合が増加していた。Planchalizeeではサンゴの割合は80%と近くまで増加していた。窒素固定量は1.0-4.9mgN/m2,dayで、単離したシアノバクテリアのC/N比は6である。HPLCを用いて色素を測定したサンゴの表面にシアノバクテリアが持つ特異的な色素であるジビニールクロロフィルが検出された。またバクテリアの存在も確認されたが、悪性のビブリオ菌は非常に少なかった。これまで成果からREUNI0N島のサンゴが高い水温でも白化が少ない理由の一つはサンゴがストレスにより放出する有機物とアンモニア濃度が非常に低いこと、そのため微生物の増殖が抑制されていること、さらにシアノバクテリアのバイオマスが沖縄等に比べて低く、そのためサンゴに共生する褐虫藻に必要な栄養塩が不足していない可能性が明らかになった。 これらの成果の一部は11回日本サンゴ礁学会で発評した。また沖縄で2007年6月に開催される太平洋学術会議で発表する。またフランスのルモンドの4月6日号に記事が掲載された。
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