研究課題/領域番号 |
15255006
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
青塚 正志 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (40106604)
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研究分担者 |
戸田 正憲 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (40113592)
屋富祖 昌子 琉球大学, 農学部, 助教授 (50045134)
渡部 英昭 北海道教育大学, 札幌校・教育学部, 教授 (10167190)
高森 久樹 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (40188090)
木村 正人 北海道大学, 地球環境科学研究科, 教授 (30091440)
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キーワード | ショウジョウバエ / 東アジア地域 / 種分化機構 / 生物多様性 / 生物地理 / 系統分類学 / 進化遺伝学 |
研究概要 |
多くの生物群が、東南アジア熱帯を起源にし、そこから北半球温帯域に進出しながら主要な系統群を分化させていったものと推察されている。現在のショウジョウバエの多様性もまたこの歴史的、地理的過程を経て創出されたものと思われるが、蓄積されている生物学的情報の豊富さからショウジョウバエ類は、生物多様性成立機構の解明のための最も優れた研究材料のひとつといえよう。代表者らは、H12-14年度科学研究費補助金基盤A(1)によって、東アジア地域、特に中国南部地域のショウジョウバエ多様性解明に重点を置いた調査を行った。3年間の研究期間で行われた採集調査によって多くの既知種と、それに倍する新種、疑問種の生息が確認され、中国南部を含めた東アジア南部がショウジョウバエ多様性の高い地域であることの確信が得られた。この第1次調査の標本類の解析を継続して行う一方で、H15年度からの第2次調査では、調査対象地域を拡大し、東アジア地域多様性の全容解明を期することにした。本年度は、中国、インドネシア、ベトナムに合計9回の調査派遣を実施し、現地研究機関の協力を得て、系統分類学的、進化遺伝学的研究を行った。主な結果は次のとおりである。(1)スマトラ島南部及びジャワ島西部で得られた標本を分類同定した結果、クロショウジョウバエ区に属する、これまでは旧北区・新北区に限って知られてきた北半球に分布するいくつかの分類群が確認され、本区の進化を理解する上で重要な情報となった。(2)ハノイ近郊でクワズイモショウジョウバエの調査を実施し、未記載種を含む数種を確認した。現地は東南アジア亜熱帯に属し、さらにヒマラヤから東に延びる山塊の東端にあたるために、アジア熱帯と温帯をつなぐ回廊としての生物地理学的な役割が大きいと推定される。新種の解析はこの推論を発展させる重要な手がかりとなるものと期待される。
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