研究概要 |
中国社会科学院・考古研究所に所属する中国側共同研究者と共に,同研究所・安陽工作所(河南省・安陽)を中心拠点として、商代ならびにそれ以前の遺跡発掘のための事前調査ならびに古人骨試料の収集をおこなった。収集した古人骨は,日本側研究者ならびに中国科学院・遺伝研究所に所属する中国側共同研究者との共同作業により,DNA分析のための前処理としての古人骨試料のクリーニング作業をおこなった。前処理を終えた古人骨試料から順次,DNAの抽出を開始した。抽出・精製したDNAをテンプレートとして,PCR法を用いてDNAの増幅を試みた。DNA増幅をおこなった領域は,高度の遺伝的多様性を有し,世界中の多くの現代人類集団およびいくつかの古代人類集団に関する塩基配列データが既に得られているために本研究の目的に最も適したミトコンドリアのDループ領域とした。増幅に成功した古人骨個体について,PCR direct-sequencing法による塩基配列の決定をおこなった。また、遺跡より出土した炭化植物のDNA分析によっても古代中国人類集団の遺伝的多様性、特にその時代的変遷に関する貴重な情報が得られることから、炭化植物試料を収集するための予備調査もおこなった。
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