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2003 年度 実績報告書

赤道アフリカ農村におけるモラル・エコノミーの特質と変容に関する比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 15255018
研究種目

基盤研究(A)

研究機関福井県立大学

研究代表者

杉村 和彦  福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (40211982)

研究分担者 池上 甲一  近畿大学, 農学部, 教授 (90176082)
末原 達郎  京都大学, 農学研究科, 教授 (00179102)
嶋田 義仁  名古屋大学, 文学研究科, 教授 (20170954)
鶴田 格  近畿大学, 農学部, 講師 (60340767)
池谷 和信  国立民族学博物館, 助教授 (10211723)
キーワード赤道アフリカ / モラル・エコノミー / 比較研究 / 組織原理 / オルタナティブ・トレード / 慣習 / ハビトゥス / 地域通貨
研究概要

初年度の主要な研究成果は以下の4点に要約することができる。
1.アフリカ農民のモラル・エコノミーの地域的特質を東南アジア農村と比較し、その固有性を明らかにするために、タイの灌漑稲作、天水稲作農村をサーベイし、その特質の対比を行った。「情の経済」として知られるアフリカ農民のモラル・エコノミーは、互酬性規範から見るとき、「分与の経済」、「一方的贈与」といわれるようなサーリンズのいう「一般的互酬性」の性格を有するが、これらの互酬関係は、物的「生産」の場に見られるよりもむしろ「消費」の場や、結婚、葬式、緊急の財の必要というような場での相互扶助のなかに強く現れる。本年はアフリカ農村の中に広く見られた共食慣行の変容とそこから派生する「現金の共有化」などの動向を明らかにし、今後の調査研究のパースペクティブを示した。
2.アフリカ農民の中に強く働く、平等主義的倫理は、われわれの農民社会よりもむしろ狩猟・採集民、牧畜民の互酬性のあり方と重なることもあり、こうした点についても研究を進めた。
3.各地域社会に発現するモラル・エコノミーの現象の領域は、ある社会の成員の生活の規範、道徳、正義、公正などにかかわるものであるが、慣習に支えられたものとして、その地域社会の宗教的・美的価値意識などとも融合し、一体となったものとして現象する。とりわけアフリカ農村の「情の経済」の背後には、「悪や不幸」を「呪い」という視点から見るような思考様式があり、また「善」を「美」と重ねてとらえる見方が存在しており、こうしたアフリカ農民のモラルの固有性の淵源に迫る研究も宗教人類学・文化人類学の視点から進められた。
4.現代社会の中心的な課題としての南北問題、地球環境問題を超えようとする新たな研究視角の中には、生産、流通、消費の中にも公正、平等、正義といった「モラル」が内部化された経済学が求められている。本年度は、こうした現代社会の新たな動向の中で、オルタナティブトレード、地域通貨、自然エネルギー利用に着目し、東南アジア、アフリカのモラル・エコノミー論の視角との連関性についての研究も進めた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 杉村和彦: "自然エネルギーと地域社会の未来"地球環境問題の人類学(池谷和信編)(世界思想社刊). 282-304 (2003)

  • [文献書誌] 杉村和彦: "地域通貨とモラル・エコノミー"福井の科学者. 93・94. 44-50 (2004)

  • [文献書誌] 嶋田義仁: "悪や不幸をどのように説明するのか"宗教哲学研究. 2. 92-102 (2003)

  • [文献書誌] 末原達郎: "「美しい村」とは何か"農業と経済. 70-1. 5-12 (2004)

  • [文献書誌] 池上甲一: "オルタナティブ・トレードの背景とそのパースペクティブ"農耕の技術と文化. 26. 125-142 (2003)

  • [文献書誌] 池谷和信: "石器時代人としてのサンの表象について"野生の誕生(スチュワートヘンリ編)(世界思想社刊). 50-70 (2003)

  • [文献書誌] 杉村和彦: "アフリカ農民の経済-組織原理の地域比較"世界思想社. 482 (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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