研究課題
本研究の目的は、最近の計算機環境の下で固定パラメータ問題を高速に解決するための方法論を確立することである。そのために、単なるプログラムテクニックとして解析に反映されなかった側面を数学的に厳密に評価し、従来の解析方法とは全く異なる立場から計算の効率評価を行うことであった。今年度は、固定パラメータ問題の高速解法に関する一般的枠組みに関する研究を行う他に、画像のディジタルハーフトーニングや、多角形の詰め込み問題などの具体的な問題についても研究を行った。これは、一般的な原理を得るためには具体的な問題を数多く考察することが必要であることと、問題の性質上、実際の問題からはなれて一般原理を得ることはできないからである。特に、ディジタルハーフトーニングへの応用に関しては、長年未解決であった最適網点設計問題についても研究を進めた結果、重要な発見があった。N行N列の行列に1からNの2乗までの整数を、どのk行k列の部分行列でも和が一定となるように配置できるかを問う問題であり、数学の分野でも、ラテン方陣や魔方陣として知られている問題の一般化である。これに対して、そのような配置が存在するための必要十分条件を発見し、さらにそのような性質をもつ行列を効率よく生成するアルゴリズムも得た。組合せ数学と計算幾何学との融合から得られた結果であり、国際会議でも高く評価され、続く国際会議での招待講演に繋がった。この結果は国際ジャーナルであるTheory of Computing Systemでも採録された。また、従来の漸近解析の範囲外の結果として、2点から等距離にある2本の曲線を引くという基本的な問題を考察し、これが正弦曲線と同じ性質をもつことを確かめた。この結果は、理論の最高峰であるACM Symposium on Theory of Computingにも採択されるなど、世界的な評価を得た。
すべて 2005 その他
すべて 雑誌論文 (5件)
Journal of Electronic Imaging
ページ: 1-9
Computational Geometry : Theory and Applications 30,1
ページ: 59-77
ACM Symposium on Thoery of Computing (採録決定)
電子情報通信学会論文誌D (採録決定)
Theory of Computing System (採録決定)