研究概要 |
楕円曲線暗号をはじめとする公開鍵暗号におけるサイドチャネル攻撃およびその防御法を類別し、既存防御法に対する耐性解析を行ない、高速性・メモリ使用量等の観点から効率的な防御法を構成し、その安全性・効率性の解析を行なった。 第一に、楕円曲線暗号において、個別に議論されてきたサイドチャネル攻撃およびその防御法を、攻撃者の能力に関する仮定を明らかにした上で、事前計算テーブルの有無に着目し体系的に類別した。この分類を基にして、サイドチャネル攻撃に対する防御法の構成に対して、メモリと速度の観点から統一的見通しを与えた。 第二にサイドチャネル攻撃に対する、事前計算テーブルを用いる新たな防御法として、wNAF (Width-w Non-Adjacent Form,幅w非隣接形式)法を用いた防御法を提案し、その安全性・効率性の解析を行なった。この防御法は、メモリと速度のトレードオフの関係において、最適であることも理論的に示した。 第三に、べき指数展開処理時に漏洩するサイドチャネル情報を用いて秘密べき指数を導出する方法について考察し、wNAF展開,fractional window展開については,SPAなどによりべき指数展開処理の実行シーケンスの特徴が検出できた場合に,観測した実行シーケンスから秘密べき指数を導出するアルゴリズムを構成した。
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