研究概要 |
本研究の目的は,プログラミング言語,ソフトウエア方法論,プログラミングシステムや実行環境技術,およびデータベースシステムの各分野の最先端の成果を統合し,次世代高信頼高機能インターネットソフトウエアの効率よい開発を可能にするコンポーネントフレームワークを構築することである. この目的の下,初年度である平成15年度は,以下の項目に関する研究を行った. 1.コンポーネントの合成および再利用のための型理論(主な担当者:大堀) 平成15年度は,コンポーネント仕様の重要な側面であるアクセス制御を実行時ではなく,コンパイル時に行うことを可能にする静的型システムの理論を構築した. 2.コンポーネント指向ソフトウエア方法論(主な担当者:片山) 平成15年度は,コンポーネントを構成するクラス制約を記述しシステムが制約を満たすことを検証するための枠組みの基礎研究を行い,定理証明システムHOLを用いたオブジェクト指向システムの振る舞いの記述システムのプロトタイプを構築した. 3.コンポーネント環境技術(主な担当者:権藤) XMLマークアップによる,バイナリレベルのコンポーネント記述および応用システムのプロトタイプを構築して備評価を行った.平成15年度は,DWARF2デバッグ情報をマークアップする方式であるDWARF2-XML,これを応用したクロスリファレンサdxrefおよびrxref,静的コールグラフ生成系bscgを構築した.予備評価では,開発の容易さ,ほぼ実用レベルの実行性能に加え,コンパイラの独自動作や規格上の未規定動作への高い順応性を示すなど,良い結果を得た. 4.コンポーネントレポジトリ(主な担当者:田島) データベース中の部品となるコンポーネントを合成して必要なデータを動的に生成するような検索機能をもつデータベースシステムの開発を目的とし,平成15年度は.パラメータ化された構造化文書の複雑な合成操作も表現できる検索言語の基礎理論を,大堀,篠埜とともに構築した.
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