研究概要 |
研究期間初年度にあたる本年度は,データ駆動型実時間システムが提供するユーティリティをユーザが自由に利用可能とするための設計・評価環境の実現手法,このような環境を実現するためのユビキタスネットワーキング向きデータ駆動プロセッサアーキテクチャの各々について,以下のような検討を加えた. (データ駆動型時間システムの設計・評価環境) まず,記号実行プロトタイピング手法の拡張として,ある機能モジュールの出力仕様を,入力仕様を項とした式で表現し,この式を用いてこのモジュールの機能を表現する記号実行式を生成する手法を導入した.次に,実時間システムの設計・評価に必須となるQoSの評価機能として,QoSの構成要素であるジッタと欠損率をストリームの仕様に導入した.また,実時間性の保証機能を実現するために,時間制約の仕様としてプログラムの実行時間の上限・下限の記述を導入するとともに,プログラムの実行時間の最小値・最大値を評価する手法を明らかにした.さらに,この仕様から,データ駆動プロセッサCUE(Coordinating Users'requirements and Engineering constraints)による実時間システムに投入するストリームを直接生成する手法を定式化した. (ユビキタスネットワーキング向きデータ駆動プロセッサアーキテクチャ) メディア処理・ネットワーク処理に必須となる順序依存処理を高効率に処理するために,データ駆動プロセッサにインライン実行方式を導入し,同一のパイプライン上でデータ駆動実行による多重処理とインライン実行による順序依存処理が行えるプロセッサアーキテクチャを提案した.その予備的評価において,従来15フレーム/秒程度のスループットが限界であった画像圧縮処理がビデオレート(30フレーム/秒)で実現可能であることを示した.
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