研究概要 |
モバイルネットワークにおけるディベンダブル分散ソフトウェアの設計開発法の確立を目指し,分散したデータをいかに管理するか(分散データ管理)と,多数のプロセスをいかに制御するか(分散制御)の両方の観点から,ディペンダビリティを確立する手法について検討した. (a)ディペンダブル共有オブジェクトの実現:ディペンダブル分散データ管理のための基盤技術として,共有オブジェクトのディペンダビリティを実現するために自己安定の手法の共有オブジェクトの適用を試みた.具体的には,ヒープなどの基本的共有オブジェクトについて,自己安定化の手法を提案した. (b)ディペンダブル分散制御の実現:モバイルネットワークでは,プロセスの参加・離脱やネットワーク接続状態の変化などのために,ディペンダブル分散システムを設計することが困難である.そこで,このような動的分散環境における分散ソフトウェアの基盤技術として,コーザルブロードキャストの実現法を提案した.また,ネットワーク環境の動的変化によって生じる予期せぬ通信遅延の増大をタイミング故障としてモデル化し,タイミング故障に対する耐性を有する分散ソフトウェアの基盤技術の提案を行った.また,分散制御に関するいくつかの基本的な問題に対し,ディペンダビリティを実現する自己安定プロトコルの提案を行った.さらに,モバイル分散環境でのディペンダブル分散ソフトウェアの実証実験の試みも行った.
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