研究概要 |
研究の初年度である本年は,圧縮・展開アルゴリズムと埋め込み展開器および圧縮器の関係をモデル化し,そのモデルを用いた解析を行うことが目的であった. 1.埋込み展開器に関しては,統計型可変長符号(ハフマン符号など)を用いた場合のテスト圧縮アルゴリズムにおける展開器モデルを提案し,その解析を行った.解析では,展開器の入手力速度比,展開器のバッファサイズ,テストデータの圧縮率の関係を明らかにした.その解析結果は,電気学会電子・情報・システム部門大会(2003年8月)において報告を行った.また,この解析を基に,テスト展開器のオーバーヘッド削減のために,テストベクトルを並べ替える手法も提案した.並べ替えアルゴリズムはテストデータ量に比例した計算時間で実行可能であるにもかかわらず,並べ替えを行わない場合と比べて90%以上もバッファサイズを削減できる例があることがわかった.この結果は,電子情報通信学会のディペンダブルコンピューティング研究会(2004年2月)で報告を行った. 2.もう1つの目標であったテスト出力応答の圧縮は,入力側と同様にハフマン符号をベースとした新しい出力応答圧縮用符号を提案し,この符号を用いた出力応答圧縮の計算機実験を行った.圧縮率は約50%であり,今後の圧縮率の向上に期待できる.また圧縮器の構成についてはまだモデル化できていないため,これからの研究課題となっている.この結果は国際会議Asian Test Symposium (2003年11月)にて発表を行った. 以上の2点から,本年度の研究計画はほぼ予定通り達成できたと考えている. 加えて,これらの研究を行う際に行った他の研究の動向調査(サーベイ)を基に,他大学の研究者とともにサーベイ論文としてまとめ,電子情報通信学会論文誌DIに採録された.
|