研究概要 |
本研究では,急速に進展しているユビキタスコンピューティング環境において,時間とともに,ノードがネットワーク中を移動する点,さらに,そのネットワーク構成自身やユーザの要求も動的に変化することが考えられ,速やかにその適応が可能なネットワーキングサービスを提供することを課題としている. そこで,上記課題を解決する手段として,ユビキタス環境において稼動するアプリケーション間のデータを転送可能なプロキシネットワークを構築し,プロキシネットワーク内におけるルーティング方式を自律的に制御することで,シームレスサービスを実現することを目的としている. 平成15年度においては,下記の2点の方式によりアプローチを試みた. 1.ユビキタスコンピューティングにおいて想定されるネットワーク環境において,サーバとクライアントの間に,アプリケーションレベルでのコンテンツルーティングを実現するプロキシを設置した.本プロキシでは,クライアントからの要求に対して,最適なサーバを選択し,ルーティングを実施する機能,クライアントからの要求を束ねるバッチング機能を構築した.これにより,動的な環境においても,サーバの離脱等に対処することが出来る. 2.P2Pネットワークを構成可能なミドルウェアであるJXTAを用いて,ツリー型のP2Pストリーミング配信モデルの試作を行った.本システムでは,各ピアが管理・受信・配信機能を有する完全分散型のP2Pシステムである.さらに,動的な環境を想定し,ユーザ(ピア)の離脱に伴う,ツリー再構築を短時間で行える自律的なセルフコンフイギュレーション機能を提案・実装し,その効果の検証を行った.これにより,端末自身がプロキシと化し,ネットワークの動的な環境に対応できうる可能性について検討を行った.
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