研究概要 |
常時接続可能なインターネット環境が普及し,それに伴いピアツーピアによる様々なアプリケーションが登場しかつ大きなインパクトを与え続けている.また,携帯機器を初めとするユビキタス機器の近年の充実により,今後,アドホックなネットワーク環境がより充実してくるものと考えられる.そこで,携帯機器をはじめとするユビキタス機器が時間とともに,ネットワーク中を移動し,ネットワークの状況に応じて,その接続形態を切り替えるなど常に最適な通信状態を維持することが課題となってきている.そこで,前記課題に対して,複数のプロキシサーバの連携機能を用いて対処することを考えている.そこで本年度は,以下の項目に関して,設計・開発を行なった. (1).ピアツーピア等において近年注目されている分散ハッシュテーブル(DHT)を用いた.すなわち,DHTによる自己組織化ネットワークをプロキシノードによって構成し,プロキシノードにユビキタス機器が接続する形態を取った.これにより,ユビキタス機器の煩雑な参加・脱退によるネットワーク全体のパフォーマンス低下や,ユーザ間(ユビキタス機器間)の持続的接続通信時にネットワーク全体にかかる負荷を自己組織化ネットワークであるプロキシ群で吸収することができ軽減が期待できる. (2).本システムでは,アプリケーションサービスを実際に利用するのはプロキシネットワークに接続するユビキタス機器である.つまり,プロキシがユビキタス機器の要求を代表して発行することにより,よりネットワーク全体構成の煩雑な変化を吸収する役割となる.このため,実際にユビキタス機器間の通信形態としては間接的となるため,UDP hole punchingという3wayの通信形態上に仮想的なHTTP通信機能を実現している.これにより現在のところ画像通信は難しいものの,データ通信においては間接通信が可能となった. (3).ユビキタス環境でサービス提供を行なうためには,個々のユビキタス機器やサービス部品を状況に合わせて動的を適応させ結合させる技術が必要となる.さらに,プロキシ-ユビキタス機器-サービス-人という関係をも推論させて,適材適所な選択が自律的に行なわなければならない.そこで,ワークフロー型のサービス連携技術を,RDFを用いて,ユビキタス機器,サービスを対象に記述・表現することで,多様で動的なユビキタス環境に適するように設計を行なっている.さらに,RDFの構造を推論するためにオープンソースであるJenaを用いて試作を行なっている.
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