研究概要 |
携帯端末を初めとするユビキタス機器の近年の充実により,現在,アドホックなネットワーク環境が急速に普及している.そこで,ユビキタス機器が時間とともに,ネットワーク中を移動し,ネットワークの状況に応じて,その接続形態を切り替えるなど常に最適な通信状態を維持することが課題となってきている.本研究において前記課題に対して,自己組織化可能なプロキシネットワークの連携機能を用いて対処することを検討している.そこで平成17年度は,以下の項目に関して,設計・実装を行なった. (1)分散ハッシュテーブル(DHT)を用いた自己組織化ネットワーク 分散ハッシュテーブルはインデックス情報をノードに分散させて保持する方式で種々の方式が提案されている.今回は経路表形式と木構造形式のP2Pシステムに注目して,その構成と実装法について考察した.さらに,コンピュータシミュレーションを通してこれらのシステムの定常時とノードの離脱・参加時におけるノード検索の性能を計測し比較分析を行った.その結果,木構造形式のシステムがノードの参加・離脱において管理コストが少なく,ノード検索性能も低下しない点を確認した. (2)ユビキタス環境における端末間通信方式 様々なアクセスが想定されるユビキタス環境ではVPN技術が重要となってくる。特に,様々な環境において仮想的なネットワークインターフェイスをマシン上に構築するVPNは,既存のプログラムを修正することなく,プログラムがリモートネットワークと通信できるためユビキタス環境との親和性が高い.しかし,このVPNは,ネットワークの経路表を動的に書き換え,通信中のプログラムに影響を及ぼす可能性がある.そこで,プログラムごとに仮想的なネットワーク環境を構築し,通信中の他のプログラムに影響を与えない,ポリシーベースVPNの提案を行った.
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