研究概要 |
近年、ノードの小型化、アドホックネットワークの無線技術の進展に伴い、移動ノードや通信媒体の多様化・高機能化が進んできている。このような状況において、時間とともにノードがネットワーク中を移動することにより、その接続形態を切り替えるなど常に最適な通信状態を維持することが課題となってきている。そこで、本研究は、最終年度にあたり、実用化を視野にいれて、下記内容の研究開発の実施を行った。 (1)ネットワークスタックの仮想化による独立通信環境の構築 現在、OSが提供する通信環境は一つであり、全てのプログラムがその通信環境を共有している。そのため、動的な変化が激しいユビキタスネットワーク環境において各種設定問題が発生し、その度に新たなネットワーク設定の変更が生じ、さらに通信環境全体に影響する。そこで、OSが提供する通信環境から独立した管理が可能な独立通信環境を構築し問題を解決した。 独立通信環境とはネットワークインタフェースや経路表などが既存環境から独立した小さな通信環境であり、プロセス毎に必要なネットワーク環境を構築可能にすることが出来る。これにより意図しないプロセスのネットワークへのアクセスを防止可能となり、動的なユビキタスネットワーク環境に対応可能となった。 (2)自律型多段DB複製方法の設計と実装 ユビキタスネットワークのような動的環境においても、ITサービスの停止は許容されなくなっている.現在のWEBアプリケーションにおいてデータベースにアクセスができなくなると様々な混乱を来たす.商用製品では,データベースはデータの一貫性の問題により複製数に制約がある.災害対策用にデータ複製を遠隔地に行うサービスが提供され始めたが,ランニングコストの問題により広く普及するまで至っていない.本課題では,データベースを複数箇所に複製する方法について実装し評価を行った.データの同時性については犠牲となるが,ネットワークの動的特性やその影響範囲が予測困難なため,複数の複製を自律的に実施する方法について検討した.
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