研究概要 |
本年度は,本研究の初年度にあたり,各研究分担機関において研究の基盤となるシステムの整備と,基礎研究を行った.以下に,研究概要とこれに沿って各研究機関での状況に関して述べる. 【研究概要】本研究は計算機合成ホログラムを用いて,CTやMRIなどから得られたボリュームデータを,立体表示するホログラフィック3Dディスプレイシステムの開発を目的とする. 【各研究機関での状況】 (1)東京都立保健科学大学では,既存のCT装置より得られた医用ボリュームデータの3次元画像処理と3次元データ圧縮技術の研究を担当する.このための基盤となる画像処理用クラスタシステムを整備し,各機関へのデータ通信環境も確立した.また,データ圧縮技術の基礎研究を開始し,従来の標準手法に比較し,高圧縮率なアルゴリズムを見いだしている. (2)北海道大学および北海道工業大学では,ホログラム計算アルゴリズムの開発と立体画像の評価を担当する.これに必要な計算機クラスタを構築し,この上にホログラム用のソフトウェア環境を開発,アルゴリズムの研究を開始した.様々な角度からボリュームデータに適しているアルゴリズムの検討を行い,有効なアルゴリズムを明らかにしつつある. (3)関西大学では,ホログラムデータを表示デバイスに描画するための高解像度描画システムの開発を担当する.すでに,システムの1号機が試作され,稼働を始めている.現在,各パラメータのチューニングを行っている段階である.安価な赤色レーザで,青色レーザによるものと,同等な解像度を得る手法を開発し,今後の実用化に向け重要な進展があった. 【全体としての状況】 予備的な実験ではあるが,東京都立保健科学大学で撮影したCT3次元画像のデータを,北海道大学にデータ通信し,これよりホログラムデータの計算,さらに,このデータを関西大学にデータ通信し,ホログラムデータの描画,立体像の表示に成功した.
|