研究概要 |
急速に普及しているネットワーク基盤を活用して,電子商取引,電子調達や電子政府の発展を進めることは,社会全体の生産性向上や経済の効率化に大きく寄与する.本研究では,電子商取引および電子政府が抱える多様な技術的課題のうち,売買契約を成立させるマーケット機能,および売買契約の履行支援の2つの研究課題に焦点をあてる.企業間電子商取引や政府の電子調達においては,購入する商品やサービスの価格面だけではなく,多様な付加価値や組合せ条件,補償条件など多様な制約を考慮する必要がある.このようなビジネスルールやロジックを計算機処理可能な言語で表現し,データベース化を行うと,オークションなどのマーケット機能や,契約履行段階でのワークフロー生成など,多様な応用が可能になる.研究代表者が提案した動的制約データベースはそのような枠組みの最初期の1つであり,データベースに格納されるオブジェクトに,自由なスキーマの制約(動的制約)を付加し,制約型データベース質問言語を与えたものである.本年度は,動的制約データベースを応用した新たな電子商取引システムおよび電子調達システムとして,以下の3つのテーマの研究開発を行った. ・効率的な問い合わせ処理方法 動的制約代数による制約の演算に関し,制約の変数の型を利用した最適化のアルゴリズムを開発し,実装を行った. ・ビジネスルールの大域的特長を把握するための視覚化インタフェース データベースに格納されているビジネスルールを表現している動的制約について、依存関係や構造を検索して数値化し,大域的特徴を図不するアルゴリズムを開発した. ・プロセス協調の進行を電子契約の内容と照らし合わせて管理する手法 電子契約を実行するためのワークフローを,あらかじめ用意したテンプレートおよび電子契約の持つ制約を考慮して生成する方式を開発した.また,企業のワークフロー間で交換されるメッセージおよび電子契約における実行状況をモニタし,契約実行の各局面における責務と例外事項等を把握する方式について,対象とする電子契約の表現形式を決定し,データベースの基本設計を行った.
|