研究課題
本研究では、データ放送による情報システムを基盤とした仮想空間システムを構築することを目的とし、平成16年度はユーザの行動を考慮した放送データのプリフェッチング手法に関する研究を中心に行った。具体的には、ユーザが部分空間の切り替えに必要な時間を低減するために、クライアントが次にアクセスする部分空間を、部分空間の接続関係とユーザの移動特性から予想してデータを取得するプリフェッチング手法を考案した。考案手法ではユーザが、ある目的地に向かって移動している場合のように比較的進行方向を変更しない場合と、ある地点で周りを散策する場合のように進行方向を頻繁に変更する場合の二つに分類し、ユーザが進行方向を大きく変更しない場合は進行方向に応じてその先の部分空間データを、また、進行方向を頻繁に変更する場合は、ユーザの現在位置から距離が最も近い部分空間のデータを取得する。これらの二つのデータ取得方法をユーザの移動特性に応じて適応的に選択することによって、データを取得するための待ち時間を低減し、仮想空間内におけるスムースな移動を可能にしている。考案した手法のシミュレーションによる評価を行い、その有効性を検証した。また、大規模仮想空間を構成する莫大なデータを管理するためのシステムを設計し、シミュレーションによる評価および実装を行った。今後は、平成15年度で考案したサーバプログラムのスケジューリング手法および、平成16年度に考案したクライアントにおける放送データのプリフェッチング手法を改良する。また、3次元幾何形状データによる大規模仮想空間モデルを用いた実験環境の構築し、各手法を実システム上で実現し手法の有効性の検証および運用上の技術課題の抽出を予定している。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (16件)
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