研究概要 |
本研究では,複数のユーザが協調して行う創造活動を支援する複合現実感技術に関する研究を行う.協調的な創造活動のためには,アイデアの共有,比較,選択,統合などが重要であり,その行為の中から協調創造活動が生まれると考える. 本年度は,以下の研究を行った. 1.複数ユーザによる協調的インタラクション技法の開発 各ユーザが互いの操作状況を認織しやすい環境を構築し,複数ユーザの操作による競合を予防する工夫を行った.ビデオシースルー方式の複合現実感システムでは,仮想オブジェクトが実写内の重要なユーザ行為を隠蔽するという問題をかかえている.ステレオ視により実写画像のユーザ行為相当部分のカメラからの距離情報をリアルタイム計測し,仮想物体と実写画像の正しい隠蔽関係が表現できるようにした. 2.実体化された複数のアイデアを管理・提示する技術の開発 複数の複合現実感システムが共有する情報をネットワークを介してデータベースシステムで管理するように改良した.次に,ユーザの要求をデータベース操作コマンドに変換しデータベースにアクセスする方式を構築することで,マルチクライアント環境における情報操作の整合性を維持できるようにした.その上で,ユーザが要求をシステムに伝えるための直感的かつ容易な操作インタフェースを考案した. 3.学習に基づくオブジェクトトラッキング技術の開発 トラッキングの精度を上げるために,特徴点抽出基準の見直しや,特徴点検出を高速かつ安定に行うためのテンプレートマッチングの改良を行った.
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