研究概要 |
平成15年度に開発した手法,すなわち画像センサをはじめとする各種センサを統合することによる位置・姿勢の高精度算出手法を実環境に対して適用するとともに,屋外実環境のおける実験対象範囲を拡大し,手法の有効性を評価した.具体的には下記の項目を実施した. (1)3次元地図データの整備と評価 適用範囲の拡大を実現するため,平成15年度設備の測量器を用い3次元地図の拡大・整備を実施した.構築した3次元地図は平成16年度設備の地図サーバ(3次元描画用PC)上に実装し,(3)の探索手法に適合するあらたなデータ形式も整えた. 3次元地図の整備に際し,建物に付帯する構造物,たとえば屋上に設置された機器などの存在が,開発した位置・姿勢推定手法にどの程度の影響を及ぼすのかを詳細に調査した.具体的には3次元地図の各建物データに付帯構造物を付加した場合と付加しない場合の位置・姿勢の算出精度定量的に比較した.その結果,通常の一辺が数メートル程度の構造物の場合には,目立った悪影響のないことが明らかになった. (2)劣化画像への対応 実環境で画像を撮影すると,ピントのぼけや手ぶれによる劣化が頻繁に生じる.そこで実環境での適用範囲拡大のために,あらたに確率的ハフ変換を利用した手法を考案し,位置・姿勢推定手法に加えた.この結果,薄暮時など,ぼけ画像になりやすい状況での推定精度の向上が確認できた. (3)探索アルゴリズムの改良 GPSやジャイロセンサの誤差が大きいと探索空間は急激に広がり,位置・姿勢の推定に要する計算時間も増加してしまう.そこで非線形探索手法のひとつであるNelder-Meadの滑降シンプレックス法を用いた探索アルゴリズムを開発・実装した.その結果,位置・姿勢の推定精度を犠牲にすることなく,探索時間を数十倍分の1に削減することができた.
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