研究概要 |
ヒトの"こころ"の科学的解明は,21世紀の人類に残されたFinal Frontiersであるといわれ,多くの研究者が,この学際的課題に果敢にチャレンジしている.特に,代表的な手法である,EEG, MEG,あるいは,fMRI計測等による感性に係る脳機能解明に対するアプローチは,ヒトのこころの治療を実現し得る一手法として非常に重要であると考えられる.特に,脳波(EEG)測定装置は,技術の進歩に伴い,ポータブルタイプのものも開発され,医用施設だけではなく,ホームユースへと使用環境も拡大しつつある.そのような状況の中で,重要な生体信号の一つである脳波を数理統計的手法で解析し,ヒトの感性や脳の知的働きがこれまで国内外で精力的に研究されてきたが,カオス・フラクタル理論に基づいた数理的解析は,これまで殆ど報告されていない. 上記の観点から,本研究では,平成16年度研究計画書に基づいて,以下の3項目について研究を実施し,幾つかの成果を挙げた. 1)多チャンネル計測された脳波のフラクタル解析により,感性情報を抽出し,喜怒哀楽の感性を計測するシステムを構築した.(特開2004-194924) 2)脳の高次機能解明のため,音読,黙読のタスクに関して,言語理解に係るブローカ野,ウエルニッケ野の活性度をフラクタル次元の事件的変化から解明した. 3)光トポグラフィを用いた感性情報解析装置を開発し,世界で初めて,感性の光計測を実現した.その結果,従来の脳波をベースとした手法に比べて,認識率が50%から90%に向上した.(特願2004-255250,PCT/JP2005/016037) 4)EEGのカオス・フラクタル性を計測することにより,脳直結型ロボット制御技術を確立した.
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