研究概要 |
本研究では自動車シートの座面角に注目し,背もたれ角が一定(110°)で座面角を3種類に設定した中級車,大衆車,あるいは軽自動車の運転席シートの「座り心地」を被験者に官能評価させ,座面角が「座り心地」に及ぼす影響を因子分析により解析した.さらに,着座中の被験者とシート間の体圧分布量(接触圧力,面積)を圧力センサシートにより測定し,座面角,「座り心地」官能量と体圧分布量との相関関係を考察した. シートの背もたれ角を110°に設定して,座面角だけを変化させた中級車,大衆車,あるいは軽自動車の運転席シートに着座したときの「座り心地」官能量と体圧分布量との相関関係を考察した結果,得られた知見を以下に示す. 1.3種類のシートにおいて,シートの座面角が8°のとき最も「高級感がある」と,座面角が15°のとき最も「スポーティ感がある」と評価された. 2.各車種において,座面角,体圧分布量,「座り心地」官能量間の相関関係より,中級車用シートについては,座面角が大きくなるにつれて,「スポーティ感」,「ホールド感」が増加するが,「ゆったり感」は減少する. 3.大衆車用シートについては,座面角が大きくなるにつれて「大腿部下の支持感」が増加する. 4.軽自動車用シートについては,座面角が大きくなるにつれて「ホールド感」は増加するが,「ゆったり感」は減少する.
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