研究概要 |
平成15年度においては,脳の活動パターンを抽出するための独立成分分析アルゴリズムの開発を行い,ヒューマノイドへの情報伝達のためのネットーワーク環境を作成した. まず,第1項目である脳の活動パターンを抽出するための独立成分分析については,次のような成果が得られた. (1)一般化された対数,すなわちlog-omeを最適化することによって,高速な独立成分分析法を得た. (2)そのアルゴリズムをさらに拡張して教師信号を受け付けられる形とした.これにより,fMRIによる脳の活動パターンの推定値に,被験者が受けている刺激を正しく反映させられるようになった. (3)fMRIは優れた空間分解能を有しているが,脳の活動パターンをリアルタイムで通信ネットワークに送ることは,今のところ現実的ではない.そこで,分解能は劣るが独立成分分析が可能でリアルタイム性のある光トポグラフィー装置を用いる方式に着手した. 次に,抽出した情報の受け手と通信経路については,以下のような進展が得られた. (4)脳情報の受け手となるヒューマノイドを,ネットワーク環境下で動作させることを可能とした. (5)脳の活動パターンとヒューマノイドとの中間を受けもつネットワーク環境を,エージェントを用いて構築した.これにより,ヒューマノイドを,パソコンや携帯電話と同じように,単なる端末の一つとして取り扱うことへの目処を付けることができた. 以上の各項目はいずれも,国際的レベルでの報告物や学術誌において発表されている.
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