研究課題
基盤研究(B)
本研究は乳幼児が日常生活の自然な状況で日夜遭遇する問題--つまりどのように切れ目のない連続的な行為を分節しているのか、どのような手がかりをつかって文の中から名詞、動詞、形容詞などのことばの品詞を同定しているのか、それぞれの品詞のことばをイベントのどの部分に対応させ、どのように他の状況にそのことばを汎化していくかという問題--を彼等がどのようにして解決しているかについてのメカニズムを、総合的、大局的に明らかにすることを目的とした。3年間の研究期間に以下の3つの実験を行った。(1)動作主、アクション、被動作物体の3つの要素からなるイベントに新奇名詞、動詞を付与し、その拡張を調べた実験では、幼児は事物を名詞に対応付けるのは容易であるが、アクションを動詞に対応づけ、異なる事物(動作主、被動作物体)で同じアクションのイベントに対してその動詞を汎用するのは非常に困難であることが明らかになった。(2)モーションイベントの中に存在する「動きの軌跡」「動きの様態」のどちらの意味要素に乳幼児が注目し、動詞語意のカテゴリーを形成するかを調べる実験では、乳幼児は、語意学習の当初(生後18ヶ月)は言語普遍的に動詞は動きの軌跡を表すと解釈することがわかった。しかし、この傾向は発達と共に減り、最終的に英語のように様態動詞が顕著な言語では様態への対応づけのバイアスに変化していく。しかし、日本語では様態を表す動詞と方向・軌跡を表す動詞の分布があまり偏っていないことを反映し、英語母語児のような顕著な様態バイアスは5歳児や大人でも見られなかった。(3)動詞の文法的形態、項構造がイベントと動詞語意の対応づけにどのように影響を与えるかを調べる実験では、2歳半で「が」や「を」の格情報を使って新奇な自動詞、他動詞を対応するイベントにマッピングできること、3歳、5歳になると格情報以外の情報(語順、レキシコン中の統計分布)などを手がかりに使うようになるという知見が得られた。
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