研究課題/領域番号 |
15300089
|
研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
三宅 芳雄 中京大学, 情報科学部, 教授 (80099910)
|
研究分担者 |
三宅 なほみ 中京大学, 情報科学部, 教授 (00174144)
|
キーワード | プログラミング学習 / 認知モデル / 学習過程 / プログラミング教育 / 知識表現 / 理解 / 多重表象 / 学習教育環境デザイン |
研究概要 |
コンピュータープログラミング学習の複雑な認知過程の実態を解明し、それに基づいた効果的な教育環境をデザインすることを目的として、以下のように研究を進めた。 本研究ではプログラミング学習の認知過程の解明を実際のプログラミングの授業の中でおきる学習の躓きや誤解の事例の分析に基づいて行っている。そのため、これまでに学習時のビデオ記録をディスプレイ上で容易に閲覧し、コメントを付加して、整理していくシステムを開発し、それを用いて多くのビデオデータの中から特に誤解や混乱の起こった事例を抽出し、背後にある認知過程の詳細な分析を行ってきた。 そのような分析に基づいて、プログラミング学習の認知過程の詳細を分析し、誤解や躓きがどのようにして起こるかを把握するための認知モデル構築を進めた。そのモデルは、プログラム作成を可能にする認知機構を多様な知識の重ね合わせとして捉えることを基本にして構成されている。特に、プログラミングの語彙や具体的な手続きのような表面的な知識から、プログラムの背後にある必ずしも自明でないプロセスの抽象的モデルのような深層の知識まで、多様な知識の重ね合わせとして認知機構を表現することで、現実のプログラミング学習における躓きや誤解を捉える枠組みを提供している。実際、多くの躓きが、プログラムの作成に必要な知識の部分的な獲得に留まるために起こるが、このような躓きを多様な知識の重ね合わせを獲得するという観点から分析することで、躓きがどのようにして起こるのかというメカニズムを認知リソースの限界も考慮して、詳細に解明し記述できることが示された。具体的には、多くの学習者が十分な理解がないままに、表面的な学習に留まってしまう過程がどのように起こるのかを学習者の実態に即して解明することができた。 上記のようなプログラミング学習の認知過程の分析に基づき、プログラミングに必要とされる認知機構の構成という観点から、十分な理解を達成するプログラミング学習のためのための教育環境デザインの設計を進めた。特に、これまで用いられてきた課題と教材を分かり易さという観点から詳しく分析し、改善の指針を明らかにしながら、プログラミング教育環境の設計を進めた。
|