研究課題/領域番号 |
15300098
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上田 哲男 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (20113524)
|
研究分担者 |
西浦 廉政 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00131277)
小林 亮 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60153657)
高木 清二 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (80372259)
|
キーワード | 真正粘菌 / Physarum / 細胞行動 / 細胞リズム / アメーバ運動 / 結合振動子系 / 細胞インテリジェンス / 自己組織化 |
研究概要 |
(A)複合刺激に対する粘菌の情報統合アルゴリズムの解明: 誘引・忌避物質による同時刺激による行動応答を実験・解析した。誘引物質の共存下での忌避応答は、閾値濃度以上で忌避・誘引物質の濃度比に比例して高濃度側へずれた。ところが忌避物質に対する膜電位応答は、共存する誘引物質の影響をほとんど受けなかった。したがって、受容膜での相互作用でなく、細胞内情報統合機構に関係した現象といえる。この実験結果を、細胞内のセカンドメッセンジャーの仮想的な行動制御に与る物質への競争的結合モデルにより、定量的に説明することができた。 (B)幾何学的パズル問題解法の基礎としての空間認識能力の解明: 餌場を複数個置いたときに形成される管のパターンを解析した。餌場が2,3,4個と増やしていくと、任意の点を最短距離で結ぶスタイナーの最小木に類似した管の分布パターンと、切断に対するロバスト性を満たす管の分布パターンのいずれもが見られた。粘菌の管形成は、2つの要請を競合的にみたすような形状をとることを明らかにした。 (C)振動位相パターンを説明する数理モデルの構成: 2つの粘菌変形体を細胞融合させた時、あるいは1つの変形体を部分的に切り離した時、グローバルに逆位相領域が新たに形成される。原形質ゾルに対しては、流れに対する流体力学的保存則を考慮し、ゲルには圧力生成機構と硬さパラメータを考慮した、結合振動子モデルを構築した。本モデルにより、上述の実験結果をシミュレーションした。
|