研究課題/領域番号 |
15300101
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研究機関 | 長浜バイオ大学 |
研究代表者 |
郷 通子 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (70037290)
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研究分担者 |
高橋 健一 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 助教授 (20322737)
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キーワード | フォールディング / モジュール / 分子動力学計算 / protein G / バルナーゼ / AMBER / 疎水性コア / 二次構造 |
研究概要 |
タンパク質がすばやくフォールドできるしくみは、階層的な構造形成によると想定されるが、その実体を明らかとする目的で、タンパク質のアンフォールディング・シミュレーションから、その逆過程であるタンパク質フォールディング過程の中間微細構造を解析している。特に、タンパク質の天然構造に見られる階層性として、一般に球状ドメインは十数残基程度のコンパクトにまとまった構造単位(モジュール)の集合体と捉えることができる点に注目して、フォールディング過程におけるモジュールの振舞いを解析している。昨年度、サイズの小さいprotein Gを対象に、アンフォールディング・シミュレーションのためのパラメタやプロトコルを検討し、報告されている実験結果とある程度整合する結果を得たがまだ食い違う点もあるため、さらに条件を検討した。AMBERの新しい力場パラメタparm03(溶媒を考慮した量子化学計算に基づくパラメタ)を使用してシミュレーションを行った結果、parm99の場合に比べ、2つのβヘアピンの安定性の違いに関して少し改善が見られたが、充分とは言えなくさらなる検討が必要である。一方、フォールディングの実験が早くから徹底的に行われているバルナーゼについてもアンフォールディング・シミュレーション(parm94を使用)を実行したところ、疎水性コアや二次構造の変形過程など実験結果と整合する結果が得られた。タンパク質の違いと力場パラメタの違いについて系統的な検討が必要と言える。バルナーゼのアンフォールディング過程におけるモジュールの振舞いについては、シミュレーションで得られた変形過程の中間微細構造に対してモジュール自動同定法を適用して解析した結果、天然構造で見られた階層構造(モジュール構造)が変形過程においてもずっと維持され続けていることが明らかとなった(投稿予定)。
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