研究課題
基盤研究(B)
本研究では、大規模分子動力学シミュレーションによって様々な実験データを満足する原子レベルの超らせん構造を構築すると共に、構造多型の分子メカニズムを解明することに成功した。超らせん構造構築のメカニズムには以下の3種類の相互作用が鍵となることがわかった。パーマネント相互作用は様々な超らせん構造において常に保たれる。スライディング相互作用は可変な疎水性および親水性アミノ酸残基ペアの間で形成され、大きなエネルギー変化なしに蛋白質サブユニット間のずれを許容する。スイッチ相互作用の形成と解消はサブユニット問相互作用とサブユニット内相互作用をそれぞれ安定化する。我々は構造多型の原因は両者の相互作用のフラストレーションであると結論付けた。超らせん構造間の転移は「変形=>緩和」機構によって起こる。すなわち、繊維構造は幾何学的に急速に変形させられ、その後相互作用を再構成しながら徐々にエネルギー的準安定状態へ緩和することを明らかにし為。また、細菌べん毛繊維の構築メカニズムの探るため、べん毛繊維蛋白質フラジェリンのアンフォールディングメカニズムに注目した研究を行った。フラジェリンは細胞質内で作られたあと、輸送システムによってべん毛繊維内部の空隙を通ってその末端まで輸送され、末端に会合することが知られている。べん毛繊維繊維内の空隙はフォールドしたモノマーより小さいため、フラジェリンは輸送される際に構造を変化させ、部分的あるいは全体がアンフォールドする必要があると考えられる。輸送前の構造解消と輸送後の構造再構成の仕組みを探るため、熱変性によるアンフォールディングシミュレーションをおこない、比較的硬い部位と構造が変化しにくい部位・しやすい部位を明らかにすることができた。具体的には、ドメインD2とD3には「コア」的な部位があることが示された。現在、更に詳細な解析を進めている。
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