研究課題/領域番号 |
15300105
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小松 由紀夫 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (90135343)
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研究分担者 |
高田 直樹 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (60335007)
吉村 由美子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (10291907)
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キーワード | 抑制性細胞 / NMDA受容体 / 長期増強 / 長期抑圧 / 興奮性シナプス / シナプス可塑性 / 大脳皮質視覚野 / 神経回路発達 |
研究概要 |
1、視覚野抑制性細胞の興奮性シナプスにNMDA受容体依存性の可塑性があるか、発達期のラット視覚野スライス標本を用いて検討した。顕微鏡下で2・3層非錐体細胞の細胞体からホールセル記録を行い、パッチ電極からニューロビオチンを記録細胞に導入し、記録実験後に形態学的検索を行い、記録細胞が抑制性細胞であるか判定した。抑制性シナプス伝達を薬理学的にブロックし、4層の電気刺激により誘発される単シナプス性興奮性シナプス後電流(EPSC)を記録した。このEPSCは、錐体細胞から記録されたと同様にAMPA受容体性とNMDA受容体性の成分を含んでいたが、NMDA-EPSCは錐体細胞のものに比べて時間経過が少し短かった。 2、記録電極から通電してシナプス後細胞を脱分極(0mV)した状態で、シナプス前線経に低頻度(1Hz)の刺激を与えるペアリング刺激は錐体細胞に長期増強を引き起こすことが知られている。このペアリング刺激が抑制性細胞に可塑的変化を誘発するか検討した。錐体細胞では長期増強だけが誘発されるのに対して、抑制性細胞では約半数の細胞に長期抑圧が生じ、長期増強は約1/4の細胞に生じただけであった。残りの約1/4の細胞には長期的変化は生じなかった。 3、パッチ電極にCa^<2+>キレータのBAPTAを加えておくと、長期増強も、長期抑圧も生じなかったので、どちらもシナプス後細胞でのCa^<2+>濃度上昇が誘発に必要であるNMDA受容体をAPVでブロックすると長期増強は全く生じなかったが、長期抑圧は一部の細胞(10%程度)で生じた。したがって、長期増強と大部分の長期抑圧はNMDA受容体依存性で、一部の長期抑圧はNMDA受容体非依存性である。長期増強と長期抑圧が起る細胞では脱分極通電による活動電位の発生パターに相違が見られたので、抑制性細胞サブタイプと可塑性の関係の解析を進めている。
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