研究概要 |
我々はJCVを構成する遺伝子であるAgnoを欠損させると、JCV自体の増殖が抑制されるという事実を論文として報告し(J Neurovirol 7:302,2001)、さらに特許を取得した。本研究ではこの基礎的事実に基づき、Agnoに対するRNAi法を用いてJCVの増殖を抑制し、PMLに対する根本的な治療法を確立することを最終的な目的とする。現在までに我々は以下の研究を遂行した。 (1)Agnoに対するsiRNAを用いた場合、JCVの蛋白、mRNAの発現抑制およびJCV感染自体が抑制される事も確認した。この結果に関して特許を2件出願し、また論文としてJ Virol 78:7270,2004に報告した。さらにこれまでに報告が無かったJCV感染モデルをJCV感染細胞をマウス脳内に接種することにより作製した。このモデルマウスを用いて、siRNAを用い、JCV感染細胞の増殖を抑制することに成功した。現在この結果をまとめてJ Neurovirolに2006年、3月中に投稿する予定である。 (2)Agnoの蛋白と宿主因子との関係を検索するためにyeast two hybrid assayを行い、その結果としてheterochromatin protein 1 alphaまたfasciculation and elongation protein zeta 1と結合して、JCV粒子の核外輸送を促進することを明らかにし発表した(EMBO Rep 6:452,2005,J Biol Chem 280,24948,2005)。 (3)JCVの感染制御因子として、神経系細胞に特異的に発現する因子を単離する事を目的としDDXを単離することに成功した。この内容も現在英文としてまとめ、英文雑誌に投稿予定である。またその他にも共同研究として他の施設とウイルス感染における基礎的研究を行っている。
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