研究概要 |
1.本研究の対象であるヒト脳腫瘍の症例を収集し、データベースへの登録を行なった。群馬大学およびその関連病院、厚生労働省がん研究助成金・野村班、群馬脳腫瘍研究会、東北脳腫瘍研究会などの症例を含め、グリオーマ約150例、髄膜腫約70例の資料を収集した。 2.腫瘍の組織学的形態から客観的な評価が可能な所見を取り上げるため、画像計測のためのコンピューターソフトを開発した(Tanaka G et al.,2003,2004)。開発されたソフトを用いることにより、細胞密度、腫瘍細胞核面積、核の多態性、p53陽性率、MIB-1陽性率などが迅速にかつ客観的に評価できるようになった。 3.神経組織に対する抗体を作製し、神経系腫瘍の免疫組織化学検索を進めた。ヒト松果体に対するモノクローナル抗体を作成し、産生された多数の抗体を用いて網膜芽腫の免疫組織化学的検索を行なった(Sawai J, et al.,2003)。また、神経細胞とoligodendrogliaの転写因子であるOlig1およびOlig2の合成ペプチドに対してポリクローナル抗体を作製し、グリオーマをはじめとする脳腫瘍の免疫組織化学的検索を進めた(Yokoo H, et al.,2004)。 4.Tissue Arrayer (Beecher Instruments, Silver Spring, MD, USA)を購入し、脳腫瘍の組織マイクロアレイの作製技術に関する基礎的検討をおこなった。その結果、作製上の問題点が明らかとなり、それらの解決法を見いだし、常に均一な組織マイクロアレイを作製することができるようになった。ただいまグリオーマおよび髄膜腫の組織マイクロアレーの作成が完了している。
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