研究課題
パーキンソン病は、脳黒質のドーパミン神経の変性脱落によるドーパミンの涸渇により生じると考えられている。ドーパミンの情報は、線状体GABA性神経細胞のドーパミン受容体へ伝えられる。D1シグナルとD2シグナルのバランスが崩れて、デスキネジアが生じると考えられている。ドーパミン受容体のシグナル伝達機構としては、D1によるアデニレートシクラーゼを活性化あるいはD2にはそれを抑制することが知られている。さらに最近D2受容体はCaシグナルと相互作用し、カムキナーゼを活性化し、CREBのリン酸化により遺伝子発現調節をしていることが最近証明された。ドーパミン受容体がCaシグナルとどのような機構でクロストークするかまったく不明であり、その解明が待たれている。まず、ADPリボシールシクラーゼ活性の測定をドーパミン有り無しで測定した。ラット脳線状体から膜分画を調整し、膜分画を酵素タンパク源として、[^3H]NADを基質及びトレーサーとして用い、ADPリボシルシクラーゼ活性を測定する酵素反応液を37℃シエカーバス内で、ドーパミン受容体(D,D2)アゴニストとアンタゴニスト存在下でインキュベートした。ADPリボシールシクラーゼ活性を、薄層クロマトグラフィー(TLC)を用い、[^3H]cADPRを分離測定した。ドーパミンによる活性化は生後4日目までの新生仔脳の線状体で明らかであった。そこで、基礎活性値を生前から生後3ヶ月までの脳で測定した。基礎活性の上昇がCD38の発現量増加による事をRT-PCRとウェスタン法で確認した。生後4日目以後のドーパミンによる活性化の消失がCD38の発現と逆比例している事を見出した。線条体にはCD38とは別の分子であるADPリボシルシクラーゼが存在している事、そして、その分子が受容体とカップルしている事が、初めて明らかになった。
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