我々は、これまで、カルシウム依存的に樹状突起へのアクチン集積が起こることを見出している。しかしながら、アクチン集積からスパイン形態変化へ確実に移行するのか、そのときにカルシウムの下流で作用するシグナル伝達系は何か、RhoGTPaseファミリーは関与するのか、といった点については、全く未解明である。 これまで我々は、CREB kinase候補遺伝子CLICK(CaMK-like CREB kinase)-IIIを、中枢神経系では初の膜結合型キナーゼとして単離同定した。さらなる解析の結果、C末端CAAXモチーフを介してprenyl化修飾を受けること、またCaMKKによる活性化制御を受けることを明らかにした。 引き続き、本キナーゼの活性化により、どのような表現型が現れるか、また細胞内情報伝達系が活性化されるかを焦点に解析を続けた。その結果、 1)PC-12にてCaMMK/CLICK-III経路を活性化すると、突起数の増大を生じること、またこの表現型がdominant CREB発現によって阻害されないこと、 2)この際、低分子量G蛋白質群の中の特定のものの活性上昇が伴うこと、またそのG蛋白のdominant negative体により、突起数増大の表現型が消失すること、 などが明らかになった。
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