研究課題/領域番号 |
15300130
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
山形 要人 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (20263262)
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研究分担者 |
田中 秀和 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70273638)
杉浦 弘子 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (40162870)
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キーワード | 神経活動 / 細胞接着分子 / プロトカドヘリン / スライス培養 / 遺伝子導入 / リン酸化 / エンドサイトーシス |
研究概要 |
我々は神経活動によって誘導される神経接着分子Arcadlinを見い出している。Arcadlinは、神経活動によってニューロンで誘導される。合成されたArcadlinはシナプスへ運ばれた後、シナプス前・後膜で同種結合することによって、シナプス結合の形態学的変化に関わると予想される。そこで今年度は、Arcadlinに関する以下の解析を行った。 1)Arcadlinの細胞内領域において結合する蛋白質をスクリーニングし、p38 MAP kinaseの上流に位置するTAO2 kinaseを同定した。そして、HEK293T細胞にarcadlin、TAO2、MKK3、p38 MAPKを発現させ、Arcadlinの細胞外領域蛋白質を加えたところ、p38 MAPKのリン酸化が亢進し、Arcadlinのエンドサイトーシスが生じることを見い出した。 2)Arcadlinの細胞内領域欠失変異体を作製し、TAO2との結合に必要な領域、またエンドサイトーシスに必須な領域を同定した。免疫沈降法により、TAO2がArcadlin細胞内ドメインのCM1と呼ばれる領域と結合していることを明らかにした。さらに、ArcadlinのエンドサイトーシスはCM1だけでなく、CM2と呼ばれる別の領域を欠失させても抑制されることから、CM1はTAO2との結合にCM2はTAO2の活性化に必要な領域と考えられた。 3)さらに、細胞外領域部分の同種結合にArcadlinのどの領域が関わっているかを明らかにするため、六個のカドヘリンリピートを一つずつ欠失させた変異体を作製し、p38のリン酸化およびArcadlinのエンドサイトーシスを調べた。その結果、どのリピートを欠失しても、p38のリン酸化およびArcadlinのエンドサイトーシスが見られないことから、すべてのカドヘリンリピートが同種結合には必要であることが明らかになった。 4)細胞外ドメイン同士の同種結合によるp38 MAPKのリン酸化が神経細胞内で生じるかどうかを明らかにするため、海馬スライスの初代培養技術を確立し、arcadlin-EGFPを遺伝子導入することに成功した。さらに、細胞外領域蛋白質をスライスに加えることによって、Arcadlin-EGFP発現ニューロン内でp38 MAPKがリン酸化されることが明らかになった。
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