研究課題
基盤研究(B)
シナプトタグミン1(SytI)の機能SytIは一般に神経刺激によって誘発される速いシナプス伝達のCaセンサーであると考えられている。SytIには2つのCa結合ドメイン、C2AとC2Bとがあり、それぞれにCaが結合する。そこで我々はショウジョウバエの突然変異体を用いてその同定を試みた。i)SytIはシナプス伝達の際の主たるCaセンサーである。我々は3種類の突然変異体を用いた。sytI^<AD4>は完全欠失株であり、sytI^<AD1>はC2Bを欠失している。またsytI^<AD3>はC2Bにおける一つのアミノ酸に置換がおきている。sytI^<AD4>においてはシナプス伝達が著しく低下していた。残存するシナプス伝達はCa依存的に変化した。しかしその依存度は低く、sytIが主たるCaセンサーであるという考えを裏付けている。sytI^<AD1>においてもシナプス伝達は低下していた。しかしCa依存性はsytI^<AD4>と同じで残存するC2Aドメインは単独では機能していないことを示唆している。sytI^<AD3>においてはシナプス伝達の効率は他の2つの変異体に比べずっと良いがそれでも1/20ほどであった。ii)SytIのC2Bドメインの2つのCa結合部位、Ca1とCa2C2Bドメインの2つのCa結合部位におけるアミノ酸を置換してCaが結合しないようにした形質変換株を用いた。Ca1結合部位を壊した変異株ではシナプス伝達は全く起こらなかったが、Ca2の変異株ではある程度はシナプス伝達が起こり、Ca依存度を測ることができた。予想通りそのCa依存度は低下しており、C2Bドメインのこの二つの結合部位がCaを感受するために重要であることがわかった。iii)神経誘発性の速いシナプス伝達にはSytIのオリゴメリゼーションが関与している。Caの代わりにSrを用いた場合SytIのオリゴメリゼーションは起こらないと報告されている。そこでsytIのオリゴメリゼーションがシナプス伝達にどのように関与しているのかを調べるためにCaの代わりにSrを用いてシナプス伝達を調べた。Srを用いると神経刺激によって誘発される速いシナプス電達は著しく低下しCa依存性も低下していた。このことからsytIのオリゴメリゼーションが関与していることが示唆された。
すべて 2005 2004 1996
すべて 雑誌論文 (5件)
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