研究課題/領域番号 |
15300133
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
少作 隆子 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60179025)
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研究分担者 |
狩野 方伸 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40185963)
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キーワード | 内因性カンナビノイド / ホスホリパーゼC / カルシウムイオン / 代謝型グルタミン酸受容体 / 逆行性シグナル / シナプス伝達調節 / 海馬ニューロン / 小脳スライス |
研究概要 |
脳内マリファナとも呼ばれる内因性カンナビノイドは、シナプス後ニューロンからシナプス前終末への逆行性シグナルとして、シナプス伝達の調節に重要な役割を担っている。本研究では、ラット培養海馬ニューロンおよび小脳スライス標本を用いて、逆行性シグナルとして働く内因性カンナビノイドの分子実体および生成・放出メカニズムの解明をめざした。 まず、培養海馬ニューロンを用いてカンナビノイドの生成・放出メカニズムを調べた。私たちはすでに、I型代謝型グルタミン酸受容体やM1/M3ムスカリン性アセチルコリン受容体などのGq共役型受容体の活性化と脱分極(細胞内Ca^<2+>濃度上昇)を同時に起こさせると、多量の内因性カンナビノイドが放出されることを報告した。本研究ではその相乗効果のメカニズムを詳しく検討したところ、海馬ニューロンではホスホリパーゼCβ1(PLCβ1)が内因性カンナビノイド生成の律速酵素となっており、それが細胞内Ca^<2+>濃度上昇と受容体活性化により強く活性化され、多量のカンナビノイドが生成・放出されることが判明した。 次に、小脳スライス標本を用いてシナプス刺激による内因性カンナビノイド放出について調べた。その結果、(1)I型代謝型グルタミン酸受容体の活性化と脱分極が同時に起こると、多量の内因性カンナビノイドが放出され、それがPLCβ4依存性であること、(2)シナプス刺激によるカンナビノイド放出には、I型代謝型グルタミン酸受容体、細胞内Ca^<2+>濃度上昇、PLCβ4が必要であること、(3)I型代謝型グルタミン酸受容体の活性化と脱分極を同時に起こすと内因性カンナビノイドの1つである2-AGが生成されること、が明らかとなった。以上より、神経活動により放出される内因性カンナビノイドは2-AGであり、その生成・放出にはGq共役型受容体-PLCβカスケードと細胞内Ca^<2+>濃度上昇が重要であると考えられた。
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