1.肥大型心筋症病態モデルであるトランスジェニックマウス(トロポニンTミュテーションΔE160)の解析を行い、このトロポニンT分子突然変異が心臓の機能と構造に与える影響を個体・摘出心・単離心筋細胞の各レベルで明らかにした。同時に、分子レベルにおける機能的変化のメカニズムを明らかにするために、in vitroにおいてトロポニンT変異体とトロポミオシンなど他の心筋収縮制御タンパク質の相互作用を調べた。 2.拡張型心筋症の原因となる突然変異心筋トロポニンT遺伝子とともにloxPで挟んだNeo遺伝子を導入したヘテロ接合体マウスをもちいて、心筋トロポニンTノックアウトマウスおよび拡張型心筋症心筋トロポニンT遺伝子突然変異(ΔK210)を導入したノックインマウスの作成に成功した。現在、これらのマウスの遺伝的背景を均一にするため戻し交配を行うと同時に、単離心筋細胞動態解析システムを用いた心筋細胞の収縮・弛緩機能と細胞内カルシウム動態の解析、摘出心臓灌流装置を用いたワーキング・ハート解析、心エコー図法解析、さらにDNAチップ解析を開始した。 3.同様の手法をもちいてトロポニンT遺伝子における他の突然変異(Arg141Trp等)による拡張型心筋症ノックインマウスの作成と、肥大型心筋症の原因突然変異17種類のうち1〜2種類を選びそのノックインマウス作成に着手した。
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