研究課題/領域番号 |
15300145
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
姜 奕 順天堂大学, 医学部, 助手 (50276466)
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研究分担者 |
広瀬 幸子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (00127127)
松岡 周二 順天堂大学, 医学部, 助手 (20286743)
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キーワード | G-CSF / G-CSFレセプター / ループス腎炎 / Th1 / Th2バランス / 連鎖解析 / IL-4 / (NZB x NZW)F1マウス / 自己抗体産生 |
研究概要 |
全身性エリテマトーデス(SLE)では各種の自己抗体産生が見られ、自己抗体-自己抗原から成る免疫複合体の組織沈着が全身の炎症を惹起する。特に腎糸球体への沈着は、致死性のループス腎炎を誘発する。我々は、SLE自然発症系(NZB x NZW)F1マウスを用いて、ループ腎炎発症に係わる遺伝要因を解析し、NZBの第4染色体上のG-CSFレセプター遺伝子近傍ならびにNZWの第11染色体上のG-CSF遺伝子近傍にループス腎炎感受性遺伝子がマップされることを見出した。そこで、G-CSF遺伝子の関与について解析するためにNZBとNZWについてG-CSF遺伝子の塩基配列を解析し、3' UTR部位に両マウス間で多型が存在することを見出した。この多型部位を利用したPCR-SSCP法で、ループス腎炎感受性遺伝子の連鎖解析の再検討を行った結果、G-CSF遺伝子に一致してLOD5を越えるピークが得られた。このことから、G-CSF遺伝子自身がループス腎炎の一感受性遺伝子となっている可能性が示唆された。次にG-CSFメッセージレベルをNZBとNZWで比較したところ、NZWで有意に高いことが解った。G-CSFは好中球の増殖・分化に関わるサイトカインであるので、両マウス間で好中球数を比較したが、差は認められなかった。最近、G-CSFはTh1/Th2バランスに変化を来す可能性が報告されている。そこで、in vitroの系で脾臓リンパ球を用いて、産生されるサイトカインについて検討した。その結果、NZWでは抗CD3抗体の刺激によるIL-4の産生がG-CSFの添加で亢進するのに対して、NZBでは亢進が認められず、一方、IFNγの産生は両マウスいずれにおいてもG-CSFによる産生亢進は認められなかった。従って、G-CSFはTh2型のサイトカイン産生を高め、液性抗体応答を高めることで、腎炎の増悪に働いている可能性が示唆された。
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