研究分担者 |
仁田 新一 東北大学, 加齢医学研究所, 客員教授 (90101138)
松木 英敏 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70134020)
吉澤 誠 東北大学, 情報シナジーセンター, 教授 (60166931)
山家 智之 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (70241578)
本間 経康 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30282023)
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研究概要 |
本研究の目的は,人工生命の手法を用いることによって人工心臓の創発的制御システムを開発することである.すなわち,本研究では,循環系が大規模・多変数・非線形・非定常の複雑系であり,その特性あるいは構造やパラメータの多くが未知であるという,生命体の特徴を考慮することにより,特に患者の個人差および生体や環境の時間的変動に対して自動的に対処することのできる制御装置を開発し,これを体内埋め込みが可能な形で実装することを目指す.今年度の研究成果は以下のとおりである. 1.設備備品費で購入したデスクトップ型モデリングマシンを用いて,定常流ポンプを自作し,山羊による動物実験を行った.また,海外共同研究者である米国Baylor医科大学能勢教授の研究室において,慢性動物実験を行った.その結果,両心補助人工心臓において,定常流ポンプの拍出量を,ARXモデルを用いることにより,計測が容易な電力とモータ回転数から推定できることが明らかとなり,2週間程度の慢性実験では,当初の同定したパラメータを変えなくても拍出量を十分実用的な精度で推定できることが明らかとなった,当初は,自然心臓の影響により特性が複雑に変化すると予想されたが,その影響はかなり少ないことが明らかになった. 2.上記の結果に基づき,複雑系としてのシミュレーションが可能な模擬循環系の設計を開始しするとともに,一回拍出量と血圧の間の関係がカオスで表すことができるとともに,これを同期現象としてみなすことが可能であることをシミュレーションにより明らかにした. 3.エネルギー伝送系と干渉しない磁気的情報伝送装置を内蔵した経皮的エネルギー伝送装置を製作し,有効な通信能力を有することが明らかとなった. 4.シングルチップCPUに基づく制御装置を自作し,モータ電力・回転数からセンサレスで流量と差圧をリアルタイムに推定することが可能となった.
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