研究概要 |
3次元CTに時間軸を加えた4次元CT装置の開発が国内外で開始され,特に放射線医学総合研究所が(株)東芝メディカルシステムズと共同で開発した4次元CTの試験機は世界的に大きな注目を浴びている.この装置はコーンビームを放射するX線源と2次元検出器が被写体を囲む円軌道上を連続回転する走査方式を採用しており,Feldkampらにより提案された3次元コーンビームCTの拡張と考えることができる.しかし,現在実用化が進められている4次元CTの構成方式や画像再構成のデータ処理法には,(1)計測データ不完全性に伴うアーティファクト,(2)心臓などの高速な動きを捉えるには不十分な時間分解能,(3)X線被爆量の著しい増加,などの幾つかの問題点が指摘されている.本研究では,現状の4次元CT構成方式におけるこれらの問題点を解決するため,新しい4次元CT構成方式とそれに関連する画像再構成のデータ処理法の開発を行った.具体的には,(1)円軌道走査方式に対する高精度画像再構成法の開発,(2)完全データを取得できる走査方式の開発(サドル軌道走査方式),(3)高時間分解能を実現する4次元CT構成方式の開発(複数X線源走査方式),(4)X線被爆量低減を実現する4次元CT構成方式の開発(関心領域X線照射方式),の4つの項目を検討した.そして,これらの成果を9件の国際雑誌論文と10件の国際会議論文として発表した.結論として,現状の4次元CT構成方式で生成される画像を改善する手法や将来の新しい4次元CTの構成方式の基礎を確立することができたと考えている.
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